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あつかうもの別:花 ― 球根は刺さる、サクラソウは触らなくても出る

natsuko-saito
6 時間前
読了時間: 5分

生花店、園芸店、葬儀の生花、温室での栽培。それに、家庭のガーデニング。


花で手が荒れるとき、原因は「かぶれ」だけではありません。刺さって荒れるもの、触れずに顔に出るもの、日に当たって悪くなるものが混ざっています。


どの花で、体のどこに出るか。そこから原因に近づけます。


【球根は、かぶれる前にまず「刺さる」】


ヒヤシンスやスイセンの球根と汁には、シュウ酸カルシウムの針のような結晶が含まれます。


これはアレルギーではありません。針が皮膚に刺さって起こる刺激です。つまり体質に関係なく、扱えば誰にでも起こります。ヒヤシンスの球根を素手で扱うと、ほとんどの人がかゆくなります。


スイセンによるものは古くから「lily rash」と呼ばれ、花屋の刺激性接触皮膚炎としては最も多いものとされています。


大事なのは、この場合パッチテストは陰性だということです。「検査で異常なし」と言われても、原因がないわけではありません。


〈出かたの特徴〉


・球根の仕分けや切り分けをした手に出る

・かゆみ、赤み、乾燥、ひび割れ。強いと水ぶくれ

・扱った時期に悪くなり、シーズンが終わると軽くなる


【チューリップとアルストロメリアは、アレルギー】


同じ球根でも、チューリップとアルストロメリア(ユリズイセン)は仕組みが違います。チュリパリンAという物質による、本当のアレルギーです。


爪の周りと、親指・示指の先に出ます。詳しくは「職業別:花屋・造園」に書きました。


ここで付け加えておきたいのは、仕事の人だけではないということです。自宅の庭でアルストロメリアを扱っていた65歳の女性が、重いアレルギー性接触皮膚炎を起こした報告があります。パッチテストでアルストロメリアとチュリパリンAが強陽性でした。


趣味の園芸でも起こります。「仕事ではないから」は理由になりません。


ニトリル手袋が有効です。


【サクラソウは、触らなくても出ることがあります】


プリムラ・オブコニカ(西洋サクラソウ)に含まれるプリミンは、古くから知られた強いアレルゲンです。


特徴的なのは、株を傷つけなくても、プリミンが空気中に出ていることです。無傷の鉢植えからも放出されていることが、実際に測定されています。


そのため、手ではなく顔・首・まぶたに出ることがあります。鉢を置いた部屋、店頭、事務所の窓辺。「触っていないのに」と言われる典型がこれです。


なお、プリミンを含まない品種が広まったことで、ヨーロッパではプリミンのアレルギーは減ってきたという報告があります。鉢を選ぶときは品種の表示を見てください。


【キク科は、花屋でも、葬儀でも、農家でも】


キク、ガーベラ、マーガレット、ナツシロギク、除虫菊。原因物質はセスキテルペンラクトンです。


この物質はレタス、春菊、ゴボウ、チコリーにも含まれます。花で感作された人が、あとから青果や厨房で手が荒れる。その逆もあります。


もうひとつ、日本からの報告で覚えておきたいものがあります。菊農家の方が、菊に含まれるアラントラクトンでかぶれ、さらに光線過敏を合併していた例です。かぶれと「日に当たると悪くなる」が重なることがあります。


屋外で菊を扱っていて、顔や手の甲だけが強く出る人は、この可能性があります。


【触れて数分でかゆい、くしゃみが出る、なら即時型】


花屋で、キク科の花粉によって接触蕁麻疹を起こし、あとから喘息の症状も出た報告があります。


触れて数分でかゆみやみみず腫れが出る。鼻水やくしゃみが一緒に出る。この場合は遅れて出るかぶれとは別のものです。


パッチテストではなくプリックテストが要ります。皮膚だけの問題として扱うと、気道の症状を見落とします。


【どの花が原因になっているか】


フィンランドの職業病研究所が、14年間に職業性のアレルギー性接触皮膚炎と診断した観賞植物の症例12人をまとめています。


原因になった植物は、


・キク科(キク、オオグルマ、ガーベラ、ナツシロギク)

・アルストロメリア

・ユリ科(チューリップ、ヒヤシンス)

・ヒガンバナ科(スイセン)

・ナデシコ科(カーネーション)


でした。平均13年その仕事をしてから発症しています。そして12人のうち5人は症状が重く、その仕事を続けられませんでした。


長く続けた人ほど出る、ということです。出てからでは遅いという数字だと思っています。


【現場でできること】


・球根の仕分け・切り分けは素手でやらない。ヒヤシンスとスイセンは刺激なので、体質に関係なく手袋が要る

・チューリップ、アルストロメリアの下処理にはニトリル手袋

・サクラソウの鉢は、顔の高さ・風上に置かない。顔だけの症状は、触っていなくても疑う

・水替えのあと、乾く前に保湿する

・屋外で菊を扱うなら、日に当たる部分を覆う

・触れて数分で出るなら、パッチテストではなくプリックテストが要ると伝える

・症状が出た時期に何の花を扱っていたかを記録する。花は季節で変わるので、これが最も強い手がかりになります


【最後に】


花の皮膚炎は、「かぶれやすい体質かどうか」より、何を、どれだけの期間扱ってきたかで決まります。


12人中5人が仕事を続けられなかった、という数字は重いものです。荒れはじめの段階で、何を扱っているかを見直してください。


関連記事:職業別-花屋・造園/あつかうもの別-野菜・果物/職業別-農業/(水仕事)「手荒れ」


【参考文献】


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