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(文献紹介5)保護クリームの正しい使い方 ― ドイツのガイドラインが改訂されました

natsuko-saito
8月16日
読了時間: 3分

Gina M, Fartasch M, Bauer A, et al. S2k guideline occupational skin products: skin protection creams, skin cleansing and skin care products. J Dtsch Dermatol Ges 2026;24(5):700-711.


職場で「手荒れ防止用」として保護クリームが置かれていることがあります。でも、いつ塗るのか、どれくらい塗るのか、あまり説明されないまま置かれているだけ、ということも多いのではないでしょうか。

ドイツの皮膚科医・産業医・労災保険の専門家が集まって、職場で使う保護クリーム・手洗い用洗浄剤・スキンケア剤の使い方をまとめたガイドラインを12年ぶりに改訂しました。日本には同じようなものがないので、参考になる点を紹介します。


【いちばん大事なこと:クリームは手袋の代わりになりません】

これは専門家全員の一致した意見でした。

保護クリームが守ってくれるのは、水にとける弱い刺激物までです。油に溶けるタイプの刺激物に効く保護クリームは、今のところ一つも証明されていません。

手袋が使える作業では、手袋を使ってください。保護クリームは、回転する機械を扱うなど手袋を着けられない作業で、やむを得ず使うものです。


【量が足りていないかもしれません】

目安は片手にひと塗り分。チューブから人差し指の先から第一関節まで出した量(1FTU)が、片手ぶんです。

看護職を対象にした調査では、実際に使われている量はこれよりずっと少なく、それでは効果が期待できないことがわかっています。少量をのばして使っている方は、思っているより多めに、と考えてください。


【塗るタイミング】

・保護クリームは作業の前に塗る

・保湿のためのスキンケア剤は作業の後に塗る

この2つは役割が違います。作業後用のクリームを作業前に塗っても、保護にはなりません。

もうひとつ。水を通さない手袋を着ける直前に、保護クリームを塗るのは避けてください。手袋の性能に影響することがあり、蒸れによる皮膚の負担もクリームでは防げません。実験では、かえって刺激に弱くなった製品もありました。塗るなら、完全に肌に吸い込まれてから手袋を着けます。


【手洗いは、回数を減らすことが予防になります】

手を洗うこと自体が皮膚のバリアを壊します。衛生上必要な場面を減らすことはできませんが、それ以外の「なんとなく洗う」を減らすだけでも違います。

・硬いブラシは使わない

・ざらざらした研磨剤入りの洗浄剤は、汚れがひどいときだけ、できれば仕事の終わりに

・ひどい汚れは、まずペーパータオルで落としてから洗う

・抗菌石けんは勧められません。アルコール消毒の代わりにはなりません


【容器にも注意】

壺のような広口の容器は、指で何度もすくううちに細菌が繁殖します。チューブか、押して出すディスペンサーを使ってください。


【正直なところ、効果の証明はまだ十分ではありません】

このガイドラインが誠実なのは、ここをはっきり書いている点です。

保護クリームやスキンケア剤で手湿疹を予防できるか、これまでの研究をまとめて検討したところ、「効きそうだ」という傾向は見えるものの、確実に効くと言い切れるだけの結果は出ていません。

それでもこれだけの推奨が作られているのは、正しく使えば害はなく、現場での経験からは有用だと考えられているからです。「塗っているから大丈夫」と過信せず、手袋や作業のやり方の見直しと合わせて使うものだとお考えください。


【まとめ】

保護クリームを配っているのに手荒れが減らない職場では、次の3点を見直してみてください。

①手袋を使うべき作業で、クリームで代用していないか

②塗る量は足りているか(片手に1FTU)

③塗るタイミングは合っているか(保護は作業前、保湿は作業後)

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