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職業別:ネイリスト ― 指先とまぶたに出ます

natsuko-saito
9月14日
読了時間: 3分

ジェルネイルとアクリルスカルプチュアの材料は、(メタ)アクリレートという樹脂です。硬化する前の液体やジェルは、皮膚につくとかぶれの原因になります。

かつてアクリレートのかぶれは歯科の職業病でした。それがこの15年ほどで、ネイル業界へ移りました。

【出る場所に特徴があります】

・指先と爪の周り:皮がむける、ひび割れ、赤み。爪が薄くなる、剥がれる

・まぶた・顔・首:削りかす(ダスト)と、未硬化ジェルの蒸気が空気を介してつきます

「手はそれほどでもないのに、まぶたが腫れる」という形で来る方がいます。顔の症状を化粧品のせいだと思っていることが多いので、仕事内容を聞かないと分かりません。

【原因になる物質】

日本のネイリストの報告では、パッチテストで次のものが陽性でした。

・2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)

・エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)

・エチルアクリレート

・2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)

一度どれかに感作されると、他のアクリレートにも反応するようになります(交差反応)。クロアチアの34歳のネイリストの例では、本人が使っていた12製品のうち11製品が陽性でした。「この商品をやめれば済む」という話にならないのが、この物質の厄介なところです。

【喘息を合併することがあります】

同じ症例では、仕事中に何度も喘息発作を起こしていました。空気中に漂うのは皮膚だけの問題ではありません。咳や息苦しさが仕事中に出ていないか、必ず一緒に確認してください。

【手袋は「していれば安心」ではありません】

アクリレートは手袋を透過します。薄い手袋を長時間つけたままにすると、かえって内側に濃縮されます。

さらに、手袋そのものが原因になった報告もあります。ネイリストがラテックス手袋のゴム加硫促進剤でかぶれた例です。守るはずのものが、新しい原因になっていました。

【現場でできること】

・未硬化のジェル・アクリル液に素手で触らない。筆やピンセットで扱う

・手袋はこまめに替える。同じものを一日使わない

・削るときは集塵する。作業台の吸引装置を使う

・換気する。特に冬場、締め切った部屋で作業しない

・ボトルの縁や筆をぬぐった指を、そのまま顔に触れさせない

・爪の変形や剥離が出てきたら、続けながら様子を見ない

【お客さん側にも起こります】

セルフネイルの普及で、施術を受ける側・自分でやる側のかぶれも増えています。詳しくは別記事「(文献紹介7)ジェルネイルによるかぶれ ― お客さんにも、施術する人にも」をご覧ください。

【最後に】

アクリレートは、歯科材料・医療用テープ・持続血糖測定センサーの粘着剤にも使われています。ネイルで感作されると、将来これらが使えなくなることがあります。

「手荒れくらい」で済ませない理由が、ここにあります。

【参考文献】

Nakagawa M, et al. Occupational contact dermatitis in a manicurist. J Dermatol 2019;46(11):1039-1041.

Kolar I, Ljubojević Hadžavdić S. Allergic Contact Dermatitis, Allergic Airborne Dermatitis, and Occupational Asthma Caused by (meth)acrylates in Artificial Nails. Acta Dermatovenerol Croat 2022;30(3):166-169.

Kucharczyk M, et al. Acrylates as a significant cause of allergic contact dermatitis: new sources of exposure. Postepy Dermatol Alergol 2021;38(4):555-560.

Weber B, et al. From Protection to Problem: A Case of Allergic Contact Dermatitis to Rubber Accelerators in a Nail Technician Wearing Latex Gloves. Dermatitis 2026;37(1):112-113.

Wang E, Lipner SR. Adverse Effects of Do-It-Yourself Nail Cosmetics: A Literature Review. Skin Appendage Disord 2024;10(3):180-185.

Nanda S. Nail Salon Safety: From Nail Dystrophy to Acrylate Contact Allergies. Cutis 2022;110(1):E32-E33.

Dinani N, George S. Nail cosmetics: a dermatological perspective. Clin Exp Dermatol 2019;44(6):599-605.

関連記事:(文献紹介7)ジェルネイルによるかぶれ/扱うもの別-手袋/パッチテストパネル-アクリレート

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