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あつかうもの別:魚介類 ― 魚・エビ・カニを扱う手に起きること

natsuko-saito
9月11日
読了時間: 4分

鮮魚店、スーパーの鮮魚売り場、水産加工、寿司や和食の厨房。魚介類を扱う仕事の手は、一日じゅう濡れていて、しかも冷たい水と氷に触れ続けます。手荒れが起きやすい条件がそろっています。

そして魚介類の場合、原因は一つではありません。起きていることを3つに分けて考えると、対処が決まります。

【1】水と冷たさによる手荒れ(刺激性接触皮膚炎)

いちばん多いのはこれです。洗浄、氷、洗剤、そして塩分。皮膚の脂と水分が繰り返し奪われ、乾燥から始まって、ひび割れ・あかぎれになります。

デンマークで食品を扱う仕事の手の病気372人を10年間集めた報告では、内訳は次のとおりでした。

・刺激性接触皮膚炎:57.0%

・タンパク質接触皮膚炎:22.0%

・接触蕁麻疹:2.4%

・アレルギー性接触皮膚炎:1.8%

半分以上が「かぶれ」ではなく、水仕事そのものによる手荒れです。

【2】触れて数分で出るなら、タンパク質接触皮膚炎です

魚介類でとくに知っておいてほしいのがこれです。

魚やエビのタンパク質に触れると、数分から30分ほどでかゆみ・赤み・小さな水ぶくれが出ます。仕事が終われば引いていきますが、毎日くり返すうちに、慢性の手湿疹の上に急な悪化が重なる形になります。

大事なのは、この病気はパッチテストでは見つからないことです。パッチテストは陰性に出ます。診断には、新鮮な食材そのものを使うプリックテスト(プリック・バイ・プリック)が必要です。

アトピー素因のある人に多く、報告では患者の56〜68%に既往がありました。

魚の加工工場を対象にした総説では、タンパク質接触皮膚炎は作業者の3〜11%、職業性喘息は7〜36%と報告されています。手だけの問題ではありません。

【3】アニサキスが原因のことがあります

魚そのものではなく、魚に寄生するアニサキスに反応している場合があります。

スペインからの報告では、鮮魚店の店員・スーパーの従業員・調理師の3例が職業性のアニサキスアレルギーと診断されました。近年の職業性接触蕁麻疹の総説でも、アニサキスは注意すべき原因として挙げられています。

「魚を食べても平気なのに、触ると手が出る」ときは、この可能性を考えます。

【放っておくと、仕事の選択肢が狭まります】

同じデンマークの研究で、タンパク質接触皮膚炎の人とそれ以外の人を比べた結果です。

・3週間を超える病休:62.5% 対 30%

・皮膚のせいで仕事を変えた:62% 対 43%

早く原因を突き止めるほど、仕事を変えずに済みます。

【現場でできること】

・水にさわる時間を区切る。同じ人が一日じゅう洗い場に立たない

・防水手袋の内側に綿手袋を入れる。汗で蒸れたら替える

・氷や冷水を素手でつかまない

・手が濡れたまま次の作業に移らない。拭いてから

・手が切れているときは特に注意。傷口から感染も起こります

・作業のあと、乾く前に保湿する

・触れて数分でかゆくなるなら、我慢せず受診する。「体質」ではなく、検査で確かめられます

受診のときは、「何に触れて何分後に、どこが、どうなったか」をメモしていくと診断が早く進みます。パッチテストだけでは分からない種類のかぶれがある、ということを覚えておいてください。

【参考文献】

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