あつかうもの別:有機溶剤
有機溶剤は、塗装・洗浄・接着・印刷など幅広い作業で使われます。皮膚にとっては、かなり厳しい相手です。
【かぶれというより、「脱脂」です】
トルエン、キシレン、アセトン、イソプロピルアルコール、シンナー類。これらに共通するのは、皮膚の脂を溶かして奪うという性質です。
アレルギーというより、繰り返しの刺激によって起こる皮膚炎(刺激性接触皮膚炎)が中心になります。
症状は、
・手指の乾燥、粉をふいたような皮むけ
・指先や指の関節のひび割れ、あかぎれ
・ひりひりする痛み
かゆみより痛みが前に出ることが多いのが特徴です。
【皮膚から体の中に入ります】
もうひとつ、皮膚の問題にとどまらない点があります。有機溶剤は皮膚から吸収されて全身に回ります。
日本では有機溶剤中毒予防規則により、作業環境の管理や健康診断が定められています。「手が荒れる」だけの話ではありません。
【素手で洗浄しないこと】
現場でいちばん多いのが、溶剤で手や部品の油汚れを落とすという使い方です。
これは、皮膚にとって最も避けたい行為です。汚れは落ちますが、皮膚の脂も一緒に落ちます。専用の手洗い剤を使ってください。
【手袋選びが難しい相手です】
有機溶剤に対しては、「手袋をすれば安心」とはいきません。多くの手袋素材は、溶剤を通してしまうからです。
・使い捨てのニトリル手袋は、溶剤に対しては短時間しかもちません
・ラテックスやビニルは、多くの溶剤に適しません
・溶剤の種類ごとに、どの素材が何分もつか(破過時間)が違います
扱う溶剤のSDS(安全データシート)と、手袋メーカーの耐薬品データを確認して選ぶ必要があります。そして、時間が来たら交換すること。
【まとめ】
・溶剤で手を洗わない
・溶剤に合った手袋を選び、時間で交換する
・作業後は保湿する(奪われた脂を戻す)
・ひび割れが痛むようなら、悪化する前に受診を
関連記事:あつかうもの別-切削油/扱うもの別-手袋/職業別-自動車工場
【参考文献】
Schenk L, et al. Percutaneous absorption of thirty-eight organic solvents in vitro using pig skin. PLoS One 2018;13(10):e0205458.
Aoki T, et al. Examination of Permeation Resistance of Chemical Protective Gloves Made of Laminate-Film Materials Against Chemical Substances. J UOEH 2024;46(1):9-16.
Banaee S, et al. Permeation of ethoxy- and butoxy-ethanols through a disposable nitrile glove. Ind Health 2020;58(3):276-281.


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