あつかうもの別:毛染め剤(ヘアカラー)
ヘアカラーによるかぶれは、美容師にも、染める側の人にも起こります。
【原因になるのは主に酸化染毛剤です】
市販のヘアカラーの多くは「酸化染毛剤」と呼ばれるタイプで、1剤と2剤を混ぜて使います。
このうちアレルギーの原因としてよく知られているのが、パラフェニレンジアミン(PPD)と、その仲間であるトルエン-2,5-ジアミンです。
黒や濃い色を出すために使われる成分で、多くの製品に含まれています。
【症状は、頭よりも顔と首に強く出ます】
典型的なのは、染めた翌日から2日後にかけて、
・額の生え際、耳のうしろ、うなじの赤みとかゆみ
・まぶたの腫れ、顔全体のむくみ
頭皮そのものより、染料が流れて触れる場所のほうが強く出るのが特徴です。
まれですが、全身の症状(アナフィラキシー)を起こした報告もあります。
【「今まで平気だった」は理由になりません】
いちばん多い誤解がここです。
アレルギーは、繰り返し使ううちに、ある日突然成立します。何年も問題なく使えていた製品で、急に症状が出ることは珍しくありません。
だからこそ、製品に書かれている染毛前の皮膚テスト(毎回)が推奨されています。手間ですが、意味のある手順です。
【「ヘナだから安全」とは限りません】
天然のヘナ(ヘンナ)そのものは、通常アレルギーを起こしにくい植物染料です。
問題は、黒く濃く染めるためにPPDを混ぜた「ブラックヘナ」です。海外のリゾートなどでの一時的なタトゥーに使われることがあり、非常に強い感作を起こした報告が多数あります。一度これで感作されると、その後ヘアカラーが一切使えなくなることがあります。
【他のものにも反応することがあります】
PPDにアレルギーがある人は、次のものにも反応することがあります。
・黒色ゴム製品
・一部の衣類の染料(アゾ染料)
・局所麻酔薬の一部(ベンゾカインなど)
・サルファ剤
美容院で相談される際は、「パラフェニレンジアミンにアレルギーがある」と具体的に伝えてください。PPDを含まない染毛料もあります。
関連記事:パッチテスト-パラフェニレンジアミン/職業別:美容師/16-黒色ゴムミックス
【参考文献】
McFadden JP, et al. Allergy to hair dye. BMJ 2007;334(7587):220.
Iamsumang W, et al. p-Phenylenediamine-Free Hair Dye? - Misleading Labelling Causing Allergic Contact Dermatitis. Contact Dermatitis 2025;93(3):257-259.
Goldenberg A, et al. Paraphenylenediamine in black henna temporary tattoos: 12-year Food and Drug Administration data on incidence, symptoms, and outcomes. J Am Acad Dermatol 2015;72(4):724-726.
Doyen V, et al. Occupational Asthma Due to Hair Dyes Containing Para-Amino Compounds. Am J Ind Med 2026;69(1):42-48.

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